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個別記事: 2014年02月17日

寅さんとメロン紛争(常識の違い)

 先月、神戸そごうで開催していた「山田洋次監督50周年記念展」に行ってきました。

  監督生活50年間で最新の「小さいおうち」を含む全80作品の展示がありましたが、そのうち半分以上の48作品が「男はつらいよ・フーテンの寅さん」シリーズです。監督自身が全48作を30分間にまとめたダイジェスト版も上映されていました。その48作目の最後のシーンは、阪神大震災直後の神戸長田地区でした。

 寅さんを長年演じてきた俳優渥美清さんは、完成した映画の出来具合を判断するために、試写室で関係者だけと観るのではなく映画館で観客の反応を探りながら観たということです。それも、1カ所だけでなく2,3カ所観て回るそうです。倍賞千恵子さんらと一緒に観たこともあるようです。

 昔、渥美さんがテレビのインタビュー番組「徹子の部屋」にただ一度だけ出演した時の話です。

 寅さんシリーズに「寅次郎相合傘」というのがありますが、その中に、寅さんの留守中におなじみの寅さんの恋人、リリーこと浅丘ルリ子さんが訪ねてきたので、おばちゃんとさくらが寅さんがもらったメロンを冷蔵庫から出して食べ頃だからと皆で分けて食べ始めてしまうシーンがあります。

 そこにいたおなじみの連中は、何時もいない寅さんのことを一瞬忘れてその場にいた人数分だけに分けてしまっていたのですが、折悪しくそこに寅さんが帰ってきて俺も食べると言い出します。食べ始めた頃に突然寅さんが帰ってきたので、一口だけ食べかけのメロンを差し出したり、あわててちゃぶ台の下にメロンのお皿を隠そうとする者もいました。
 寅さんは、俺がもらった物なんだから俺に断って感謝しながらお裾分けに預かると言うのが筋だろう、この家じゃどうせ俺なんか勘定に入れてもらえないんだろ、といって怒ります。最初のうちは皆平謝りでしたが、あまり寅さんがしつこく怒るのでそのうち皆が逆ギレして喧嘩になってしまうという場面です。

 渥美さんによると、東京の山の手に当たる新宿の映画館では寅さんの言い分や態度がおかしいと言って笑うそうですが、下町の浅草では寅さんの言い分に同調して笑うそうです。身内や近隣、親戚に寅さんのような人物がいた場合、どう思うかの違いなのかもしれません。
 芸能界で下町育ちの渥美さんや倍賞さんは、下町浅草の観客の反応に嬉しそうでした。
 
 ちなみに、渥美さんは浅草のストリップ劇場の軽演劇コメディアン出身、倍賞さんは西の宝塚、東のSKDといわれた松竹歌劇団(浅草国際劇場)のトップスターでした。まさに「下町の太陽」でした。

 このシーンは日常生活でありそうなたわいのないいさかい、喧嘩(紛争)の類ですが、そこにもそれぞれの立場や地域等による常識や考え方の違いが浮き彫りになることがあります。もっといえば、腹違いの兄妹、フーテンでテキ屋家業の寅さんとまじめな労働者の妻、下町の団子屋の夫婦、零細企業の印刷屋経営者タコ社長とそこに働くまじめな労働者、帝釈天の僧侶とその小僧、さらには事態を冷静に客観的に見ようとするリリーの言い分、それぞれに常識があり、多少とも違う考え方があります。
 男はつらいよシリーズには、これらの違いによる争いごとや喧嘩がよく出てきます。

 

 法律事務所に日常持ち込まれる相談や依頼の基となる争いごとや法律問題にも同じようなことがいえる場合があります。
  法律というのはおよそ政府(官僚)や国会議員によって作られるものですが、市民に適用される法律は全国民に共通する最低限の常識や決まりを定めたものであるとも云われます。しかしそれでも、市民からみれば地域や立場などの違いによって結論に納得できない場合もあるのです。
 私たちは、そういう人々の希望に添った解決方法や解決目標を求めて活動することにも心掛けたいと思います。

 

  弁護士 山 内 康 雄

投稿日: 2014年02月17日
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